TOP > 拍手 > 正月限定小話A:ひよりみサバイバル(美麗)編
拍手ありがとうございました!
 お正月と言ったらなんといってもおせちにお雑煮、おもちよね!
 私これでも料理は得意な方だから、一通りその辺りのものは作れるのよ。最近は仕事が忙しいからお正月もゆっくり休んでいられないんだけど、年越しそばとお雑煮だけは絶対食べるわ。これだけは絶対譲れない日本人魂の根元だもの!
 でもねえ、最近考えちゃうのよね。
 大掃除もしない年末でいいのかしら?
 着物で挨拶回りもしないお正月でいいのかしら?
 元旦からデパートに突撃をかけるお正月で、いいのかしら!?

 ──別にね、文化は移り変わるものなんだから、それはそれでいいと思うのよ。
 元日からお店が開いてるととっても便利だし。新春初売りなんて聞くとついつい行きたくなっちゃうし。銀座のお店で売られる福袋なんて、かなり興味津々よ。
 でも、元日から洗濯をすると一年中洗濯し通しになるって言うのよね。
 ってことは、元日からお買い物したら、一年中お金を使うってことになるのよね?
 冷静に考えてみれば、寝正月を過ごしたところで洗濯物はたまるんだから、やっぱり今年も洗濯はほぼ毎日するわけよ。生きるためにはお買い物だって必要よ。つまり一月一日に何をしようが、その年の生き方にもの凄く影響することなんてそんなにはないわけよ。
 だけどそれはそれ、これはこれ。
 お正月くらいゆっくり過ごすべしというのが日本の伝統ってものなんじゃないの?
 こたつにみかん、縁側で緑茶、七輪でおもち! それが日本のお正月なんじゃないの!?
 盆暮れ正月くらいはお祖父ちゃんお祖母ちゃんの家に行って、たまには親孝行とかもして! 滅多に会えない従兄弟と遊んだりとかするべきなんじゃない!?
 そして、羽子板で遊んで罰ゲームで顔に墨を塗られたり、電線に注意なさいって知らないおばちゃんから警告されながら凧あげをしたり、あとはカルタ取りとかスゴロクとかで力いっぱい遊ぶべきなのよ……
 そうじゃない? それが日本人ってものじゃない?
 年末ギリギリまで忘年会でお酒飲みまくって、年越しと同時に新年会でまた宴会だなんて、そんなの日本の伝統と文化となにより肝臓に悪いわよ!
 私の言ってること、間違ってるかしら?


「──まあ、おおむね間違ってないとは思うけど……」
 親友の力説をただただ黙って聞いていた奈澪は、歯切れの悪い口調で相槌を打った。
「思う、けど……」
 語尾が徐々に消えていく。それと同時に、奈澪の視線は真剣そのものな美麗の顔から、あらぬ方向へと泳いでいった。
「なによぉー。なんか文句でもあるのー?」
「……いやー、うん。毎年のことだからいいんだけどね……」
 どこか諦めたような口ぶりで奈澪はぽつりと呟いた。
「元旦からデパートの福袋買いあさった挙げ句、新年のお祝いと称してべろべろになるまで酒盛りしながらそんなこと言っても、まったく説得力ないんですけどね……」
 二人の足下にはデパートの紙袋が山になり、テーブルの上には酒瓶がごろごろ転がっている。
 今年も変わらぬ正月が来た、と人に絡むだけ絡んだ後は気持ちよく寝息を立て始めた親友を眺めながら、奈澪は肩をすくめたのだった。


*文字数の制限はありません。遠慮なくどうぞ!
- PatiPati (Ver 4.3) -